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口を描き足す

  
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口を付ける

引き続き、顔を作っていきます。 耳と目と鼻は完成していますので、残るは口です。 この記事では、口を描きます

口を描く

では、顔の仕上げとなる口を描き入れます。 なお、口はシェイプではなくパスで描きます

パスに関連する作業は、表示倍率が高い方がやりやすいです。 表示倍率を調整し、顔の土台がキャンバスにピッタリと収まるようにしましょう。

1. 顔の土台を選択
1. 顔の土台を選択

上図のように顔の土台を選択します。

2. 表示(V) -> ズーム(Z) -> 選択部分にズームを実行
2. 表示(V) -> ズーム(Z) -> 選択部分にズームを実行

上図のように画面上部のプルダウンメニューの"表示(V)" -> "ズーム(Z)" -> "選択部分にズーム"を実行します(またはキーボードの3を押します)。

  
テンキーの3でも、キーボード上段の3(ひらがなの"あ"の刻印のあるキー)でも構いません
3. 顔の土台をキャンバスに合わせる
3. 顔の土台をキャンバスに合わせる

上図のように表示倍率が調整され、顔の土台がピッタリとキャンバスに収まりました。

では、パスを作成します。 Inkscapeではいくつかの方法でパスを作成することができますが、今回はパスの基本的な作成方法であるペンツールを使った方法で作業します

4. ペンツールを選択
4. ペンツールを選択

上図のように画面左部にあるツールボックスからペンツールを選択します(またはキーボードのB(またはSHIFT + F6)を押します)。

  
"Bezier(ベジェ曲線)" から連想して覚えましょう。

次に、口の元となるパスを作成します。 3つの点(ノード)でつながる2本の線(セグメント)です。 ノードを置きたい場所をマウスの左ボタン(マウスの左ボ>タン)でクリックし、最後にEnterキーで確定します。

5. クリックでつなげる
5. クリックでつなげる

上図のように(1)・(2)・(3)の3箇所でクリックし、最後にEnterキーを押します。

6. クリック位置をつなぐ直線が引かれる
6. クリック位置をつなぐ直線が引かれる

上図のようにクリック位置をつなぐ直線が引かれます。 続いて、パスのセグメントを曲げて口の形にします。

ただし、ペンツールではセグメントを曲げるといった調整はできません。 ペンツールは新たに曲線/直線を引くためのツールであり、線を書き足して延長することはできますが、それ以外の調整はできませんセグメントを曲げる作業はノードツールで行います

7. ノードツールを選択
7. ノードツールを選択

上図のように画面左部にあるツールボックスからノードツールを選択します(またはキーボードのN(またはF2)を押します)。

  
"Node" から連想して覚えましょう。
8. 3つのノードと2つのセグメント
8. 3つのノードと2つのセグメント

上図のように表示が変化し、3つのノードとノードをつなぐ2つのセグメントが表示されます。

では、セグメントを曲げましょう。 まずは、左のセグメントを下方に曲げます。 マウスカーソルを、左のセグメントの上に乗せます

9. マウスカーソルを曲げたいセグメントに乗せる
9. マウスカーソルを曲げたいセグメントに乗せる

上図のようにマウスカーソルの形が十字矢印に変わります。 この状態でセグメントをマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でドラッグします。

10. セグメントをドラッグ
10. セグメントをドラッグ

上図のようにセグメントをドラッグします。 赤色の矢印はドラッグの動きを表しています。

11. 左のセグメントが下方に曲がる
11. 左のセグメントが下方に曲がる

上図のように左のセグメントが下方に曲がりました。 このように、ノードツールでセグメントをドラッグすることで、セグメントを曲げることができます

ただし、問題があります。 曲げたセグメントの内部が塗られています。 つまり、フィルが設定されています。

  
Inkscape 1.1系までは、ペンツールで新たに曲線/直線を引くとフィルは "なし" でストロークは幅 1mm の黒色になっていました。 つまり、その時点のフィル/ストロークの設定がどうなっていても確実に線を引くことができました。 しかし、Inkscape 1.2系からは、直前に設定したフィル・ストロークが引き継がれます。 つまり、鼻の楕円のシェイプに設定したフィル(黒色)とストローク(アンセット)が設定されているのです。

口は線で表現するので、フィルを削除し、ストロークを黒色に設定する必要があります

  
 
画面左下のスタイルインジケータのフィルをマウスの右ボタン(マウスの右ボタン)でクリックし、表示されるメニューの "フィルを削除" を実行することでフィルを削除することができます(右図)。
12. フィルを削除し、ストロークを黒色にする
12. フィルを削除し、ストロークを黒色にする

上図のようにフィルを削除し、ストロークを黒色に設定します。

13. パスが線のみで描かれる
13. パスが線のみで描かれる

上図のようにパスが線のみで描かれるようになります。

続いて、曲げたセグメントを微調整しましょう。 ちょっと下に曲げすぎました。 なお、セグメントのドラッグではなく、ノードハンドルを操作して調整しましょう

ただし、画面上にはノードとセグメントは表示されていますが、ノードハンドルは表示されていません。 ノードハンドルが表示されていないのは、ノードが選択されていないからです

現在、オブジェクトとしてはパスが選択されています。 しかし、パス内のノードはどれも選択されていないため、ノードハンドルは表示されていません。

ノードハンドルを表示するためには、ノードを選択する必要があります。 今回は、左のセグメントのノードを選択します。

14. マウスカーソルを選択したいセグメントに乗せる
14. マウスカーソルを選択したいセグメントに乗せる

上図のように左のセグメントをマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックします。

15. 左のセグメントのノードが選択される
15. 左のセグメントのノードが選択される

上図のように左のセグメントを構成する2つのノードが選択されます。 ノードを表す菱形が灰色から青色に変化しているのがわかります。 選択されていないノードは灰色で、選択中のノードは青色で描画されます。 また、それぞれのノードからノードハンドルが伸びてます。

では、ノードハンドルを使って曲げ具体を調整しましょう。 なお、ノードハンドルの向きはノードから伸びるセグメントの方向を示し、ノードハンドルの長さはノードから伸びるセグメントの勢いとなります

16. 左のセグメントの形を整える
16. 左のセグメントの形を整える

上図のように左のセグメントの形を整えます。 では、続いて右のセグメントも整えましょう。

17. 右のセグメントの形も整える
17. 右のセグメントの形も整える

上図のように右のセグメントの形も整えます。 これで口としての形は整いましたが、ストロークの幅が細いため口っぽくありません。 顔の土台や耳のストロークの幅の2倍の太さにします。 選択ツールに切り替えてストロークの幅を 2 にしてください

18. ヒゲに見える
18. ヒゲに見える

上図のように "口" というより "ヒゲ" に見えてきました。 口の中心が鼻と重なっているためヒゲに見えています。

口の中心が尖っていることが原因ですので、尖りを抑えましょう。 ストロークのスタイルを変えることで尖りを無くせます。

19. オブジェクトの上で右クリック
19. オブジェクトの上で右クリック

上図のように口のパスを、マウスの右ボタン(マウスの右ボタン)でクリックします。

20. フィル/ストローク(F)...を実行
20. フィル/ストローク(F)...を実行

上図のようにメニューが表示されますので、"フィル/ストローク(F)..."を実行します。

21. フィル/ストロークダイアログが開く
21. フィル/ストロークダイアログが開く

上図のようにフィル/ストロークダイアログが開きます。 内部には3つのタブがあり、フィル・ストロークの塗り・ストロークのスタイルをそれぞれ設定することができます。

22. 『ストロークのスタイル』タブへ切り替える
22. 『ストロークのスタイル』タブへ切り替える

上図のように『ストロークのスタイル』タブをクリックします。

23. 角を斜結合にする
23. 角を斜結合にする

上図のように『ストロークのスタイル』タブへ切り替わりますので、(1)の角:の[斜結合]ボタン([斜結合]ボタン)を押します。 さらに、ダイアログのタブの(2)の[×]ボタン([×]ボタン)を押してダイアログを閉じましょう。

24. 尖りが解消されて口っぽくなった
24. 尖りが解消されて口っぽくなった

上図のように尖りが解消されて口っぽくなりました。 ただし、口の位置が少し低すぎです。 もう少し鼻に近づけましょう。

25. 鼻に近づけたことで口らしくなった
25. 鼻に近づけたことで口らしくなった

上図のように鼻に近づけたことで口らしくなりました。 バウンディングボックスが邪魔で見づらいので、選択を解除しましょう。

26. 選択を解除した口
26. 選択を解除した口

上図のように見やすくなりました。 では、ズームアウトして全体を見てみましょう。 画面上部のプルダウンメニューの"表示(V)" -> "ズーム(Z)" -> "ページ全体にズーム"を実行します(またはキーボードの5を押します)。

27. 口の完成
27. 口の完成

上図のように口が完成です。

  
  

まとめ

キーボードの3を押すことで、選択範囲がキャンバスにフィットするように表示倍率を調整することができます。

操作/コマンド 説明
3 選択範囲がキャンバスにフィットするように表示倍率を調整する

ペンツールを使って新たに曲線/直線を引くことができ、引かれた線はパスとなります。

操作/コマンド 説明
[ペンツール]ボタン
(または)
B
(または)
SHIFT + F6
ペンツールを選択する
(ペンツール選択中)
マウスの左ボタン(マウスの左ボタン)
直線を引く
※Enterキーで確定する
(ペンツール選択中)
マウスの左ボタン(マウスの左ボタン)のドラッグ
曲線を引く
※Enterキーで確定する

パスの調整はペンツールではなく、ノードツールで行います。 ノードツールでは、ドラッグでセグメントを曲げることができます。 また、ノードから伸びるノードハンドルでもセグメントの曲げ具合を調整することができます。

操作/コマンド 説明
[ノードツール]ボタン
(または)
N
(または)
F2
ノードツールを選択する
(ノードツール選択中)
(セグメントの上で)
マウスの左ボタン(マウスの左ボタン)
セグメントを選択する
※セグメントの両端のノードが選択される
(ノードツール選択中)
(セグメントの上で)
マウスの左ボタン(マウスの左ボタン)のドラッグ
セグメントを曲げる
(ノードハンドルを)
マウスの左ボタン(マウスの左ボタン)のドラッグ
セグメントの曲げ具合を調整する
 
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