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クリッピング(他オブジェクトの形状での表示上の切り抜き)

  

他のオブジェクトの形状でオブジェクトを切り抜く

この記事では、クリッピングの機能について説明します。 クリッピングとは、他のオブジェクトの形状でオブジェクトを切り抜く機能です。 ただし、実際に切り抜いて形状を加工するわけではなく、あくまでも表示上での切り抜きです

 

表示上での切り抜きであるため、切り取られた部分も見えないだけでキャンバス上には存在しています。 つまり、切り抜いた後にも形状を加工できるというわけです

例えば、人物や動物のイラストを写真に収める場合などに使用します。 その場合、人物や動物のオブジェクトを写真の形状のオブジェクトでクリッピングします。

クリッピングの機能でクマを写真に収める

では、実際にクリッピングの機能を利用してみましょう。 今回は、クマを写真に収めるためにクリッピングを利用します。

1. クマのイラストと写真のイラストを用意する
1. クマのイラストと写真のイラストを用意する

上図のようにクマのイラストと写真のイラストを用意します

続いて、クマと写真のそれぞれをグループ化します。 グループ化しなくてもクリッピングはできますが、グループ化した方が移動などの操作がやりやすいのでグループ化します。

2. クマのオブジェクト群を選択する
2. クマのオブジェクト群を選択する

上図のようにクマのオブジェクト群を選択します。

では、グループ化しましょう。 キーボードのCTRL+G(ジー)を押してください

3. クマのオブジェクト群がグループ化される
3. クマのオブジェクト群がグループ化される

上図のようにクマのオブジェクト群がグループ化されます。 バウンディングボックスが1つになっていることから、グループ化されたことがわかります

同様に写真のオブジェクト群もグループ化しましょう。

4. 写真のオブジェクト群もグループ化する
4. 写真のオブジェクト群もグループ化する

上図のように写真のオブジェクト群もグループ化します。 では、クマを移動して写真に重ねましょう。

5. クマを移動して写真に重ねる
5. クマを移動して写真に重ねる

上図のようにクマを移動して写真に重ねます。 重なったのはいいですが、クマが写真よりも背面に位置しています。 キーボードのHomeキーを押してクマを最前面に移動しましょう

6. クマを写真よりも前面に
6. クマを写真よりも前面に

上図のようにクマを写真よりも前面に出します。 これで、クマと写真の位置関係は整いました。 後は、クマを写真の形状で切り抜くだけです

ただし、まだ必要なものが足りません。 クリッピングを行うには、クリッピング用オブジェクトが必要です。

クリッピング用オブジェクトとは、切り抜く形状のオブジェクトのことです。 今回はクマを写真の形状でくり抜きますので、写真の形状のオブジェクトが必要です。 なお、写真の周囲には白いフチがありますが、そのフチは除きます。 つまり、写真の印刷領域の形状のオブジェクトが必要になります。

矩形ツールなどを使って、写真の印刷領域と同じ形状のクリッピング用オブジェクトを作成しましょう。 作成するクリッピング用オブジェクトのフィルやストロークの色は何でも構いません(ストロークはなくてもいいです)。 ただし、他のオブジェクトよりも前面に配置してください

7. 写真の印刷領域と同じ形状のクリッピング用オブジェクトを作成する
7. 写真の印刷領域と同じ形状のクリッピング用オブジェクトを作成する

上図のように写真の印刷領域と同じ形状のクリッピング用オブジェクトを作成します。 なお、作成したクリッピング用オブジェクトがクマよりも前面であることが重要です

これでクリッピングに必要なものが揃いました。 クリッピングを行うには、切り抜くオブジェクトと切り抜かれるオブジェクトの両方を選択する必要があります。 今回は、クマのオブジェクト群とクリッピング用オブジェクトを選択します。

なお、選択の順番を気にする必要はありません。 選択されたオブジェクトの中で最も前面にあるものがクリッピング用オブジェクトとして利用されます

8. クマのオブジェクト群とクリッピング用オブジェクトを選択する
8. クマのオブジェクト群とクリッピング用オブジェクトを選択する

上図のようにクマのオブジェクト群とクリッピング用オブジェクトを選択します。 これでクリッピングの準備が全て整いました。

では、実際にクリッピングを行いましょう

9. オブジェクト(O) -> クリップ(P) -> クリップを設定(S)を実行
9. オブジェクト(O) -> クリップ(P) -> クリップを設定(S)を実行

上図のように画面上部のプルダウンメニューの"オブジェクト(O)" -> "クリップ(P)" -> "クリップを設定(S)"を実行します。

10. クマが写真に収まる
10. クマが写真に収まる

上図のようにクマが切り抜かれて写真に収まります。 また、最前面にあったクリッピング用オブジェクトが消えています。 このように、クリッピングが有効な間はクリッピング用のオブジェクトは表示されなくなります。

なお、クマは実際に切り抜かれたわけではく、表示上一部が見えないだけです。 また、クリッピング用オブジェクトも表示はされていませんし、選択することもできませんが削除されたわけではありません。

ではここでノードツールに切り替えてみましょう。

11. ノードツールを選択
11. ノードツールを選択

上図のように画面左部にあるツールボックスからノードツールを選択します(またはキーボードのN(またはF2キー)を押します)。

ノードツールに切り替えたら、マウスカーソルをクマの手(前足)に乗せてみてください

12. 胴体のパスのアウトラインが表示される
12. 胴体のパスのアウトラインが表示される

上図のようにマウスカーソルをクマの手(前足)に乗せると、少しの間だけクマの胴体のパスのアウトラインが赤色で表示されます

では、クマの胴体のパスをマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックしてください。

13. クマの胴体のパスが編集可能な状態になる
13. クマの胴体のパスが編集可能な状態になる

上図のようにクマの胴体のパスが編集可能な状態になります。 写真に収まっていない部分のノードも編集可能になっていることがわかります。 このように、クマは実際に切り抜かれたわけではく、表示上一部が見えないだけです

では最後に、クリッピングを解除してみましょう。 まずは選択ツールに切り替えます。

14. 選択ツールを選択
14. 選択ツールを選択

上図のように画面左部にあるツールボックスから選択ツールを選択します(またはキーボードのS(またはF1キー)を押します)。

選択ツールに切り替えたら、クリッピングされているオブジェクト、つまり今回はクマのオブジェクト群を選択します。

15. クマのオブジェクト群を選択する
15. クマのオブジェクト群を選択する

上図のようにクマのオブジェクト群を選択します。

では、クリッピングを解除しましょう。

16. オブジェクト(O) -> クリップ(P) -> クリップを解除(R)を実行
16. オブジェクト(O) -> クリップ(P) -> クリップを解除(R)を実行

上図のように画面上部のプルダウンメニューの"オブジェクト(O)" -> "クリップ(P)" -> "クリップを解除(R)"を実行します。

17. クリッピングが解除される
17. クリッピングが解除される

上図のようにクリッピングが解除されます。 クリッピング前の状態に戻りました。

なお、クリッピングはオブジェクトごとに解除することもできます。 クマの顔だけクリッピングを解除する、ということも可能です。

  
  

まとめ

クリッピングとは、他のオブジェクトの形状でオブジェクトを表示上で切り抜く機能です。 あくまでも表示上での切り抜きであるため、クリッピングで切り抜かれた後も見えない部分も加工することが可能です。

クリッピングするには、クリッピングされるオブジェクトはもちろん、クリッピングの形状となるクリッピング用オブジェクトを用意する必要があります。 なお、クリッピング用オブジェクトは、クリッピングされるオブジェクト群よりも前面に配置する必要があります。

クリッピングされるオブジェクトとクリッピング用オブジェクトの両方が準備できたらそれらを選択し、プルダウンメニューからクリッピングを実行します。

操作/コマンド 説明
(画面上部のプルダウンメニュー)
"オブジェクト(O)" -> "クリップ(P)" -> "クリップを設定(S)"
選択中の最上位のオブジェクトで他の選択中のオブジェクトをクリッピングする

なお、クリッピングが有効な間はクリッピング用オブジェクトは表示されず、選択することもできなくなります。

クリッピングを解除するにはクリッピングされているオブジェクトを選択し、プルダウンメニューからクリッピング解除を実行します。

操作/コマンド 説明
(画面上部のプルダウンメニュー)
"オブジェクト(O)" -> "クリップ(P)" -> "クリップを解除(R)"
選択中のオブジェクトのクリッピングを解除する
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