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キャンバスに下絵を表示

  

キャンバス上に下絵を表示する

この記事では、キャンバス上に下絵を表示して絵を描く方法について説明します。 写真などを下絵として表示し、透かしながら、なぞるように絵を描く、ということです

 

なお、下絵を表示するためにレイヤの機能を利用しています。 レイヤについては後ほど、知っておきたい機能 > オブジェクトをレイヤで管理 > レイヤの使い方(キャンバスを層に分ける)で詳しく説明します。

下絵を透かして絵を描く

ではキャンバス上に下絵を表示させ、透かして絵を描く手順について説明します。 まずは、何でもいいので下絵となる画像を用意してください

  
この記事では、food.foto(フード ドット フォト)様が提供されているバナナの写真を利用させていただきました。
  
JPEG形式やPNG形式、BMP形式など一般的な画像ファイルであれば大丈夫です。
1. ファイル(F) -> インポート(I)...を実行
1. ファイル(F) -> インポート(I)...を実行

上図のように画面上部のプルダウンメニューの"ファイル(F)" -> "インポート(I)..."を実行します(またはキーボードのCTRL+Iを押します)。

2. インポートするファイルの選択ウィンドウが開く
2. インポートするファイルの選択ウィンドウが開く

上図のようにインポートするファイルの選択ウィンドウが開きます。 (1)に用意した下絵の画像ファイルを選択し、(2)の[開く(O)]ボタンを押してください。

3. jpeg ビットマップ画像のインポートウィンドウ
3. jpeg ビットマップ画像のインポートウィンドウ

上図のようにjpeg ビットマップ画像のインポートウィンドウが開きます。 デフォルト設定のままで[OK(O)]ボタンを押してください。

4. 指定した画像ファイルがインポートされる
4. 指定した画像ファイルがインポートされる

上図のように指定した画像ファイルがインポートされます。 なお、読み込まれた画像が配置される場所はマウスカーソルの位置です。 そのため、キャンバスには収まっていません。

5. 下絵の画像を適切な大きさに調整する
5. 下絵の画像を適切な大きさに調整する

上図のように下絵の画像を適切な位置・大きさに調整します。 CTRLキーを押しながら矢印をドラッグすることで、縦横比を維持したまま大きさを調整することができます。

続いて、下絵の画像の角度を調整しましょう。 今回の例では、反時計回りに90度回転させます。

6. ツールコントロールの[反時計回りに90°回転]ボタンを押す
6. ツールコントロールの[反時計回りに90°回転]ボタンを押す

上図のように画面上部にあるツールコントロールの[反時計回りに90°回転]ボタン([反時計回りに90°回転]ボタン)を押します。

7. 下絵の画像を適切な角度に調整する
7. 下絵の画像を適切な角度に調整する

上図のように下絵の画像を適切な角度に調整します。

では次に、レイヤの名前を変更します。 レイヤの役割を人が見てわかりやすくするためです

8. レイヤー(L) -> レイヤー名を変更(N)...を実行
8. レイヤー(L) -> レイヤー名を変更(N)...を実行

上図のように画面上部のプルダウンメニューの"レイヤー(L)" -> "レイヤー名を変更(N)..."を実行します。

9. レイヤー名を変更ウィンドウが開く
9. レイヤー名を変更ウィンドウが開く

上図のようにレイヤー名を変更ウィンドウが開きます。 レイヤー名を "下絵" に変更して[名前を変更(R)]ボタンを押します。

ではここで、画面下部の通知エリアの左にあるレイヤ情報欄を見てください

10. レイヤ情報欄
10. レイヤ情報欄

上図のようにレイヤの名前が "下絵" となっています。 レイヤの名前が変更されたことが確認できました。

では続いて、"下絵" レイヤをロックします。 ロックすると、そのレイヤのオブジェクトは選択することができなくなります

11. レイヤ情報欄の[レイヤーのロック/ロック解除]ボタンを押す
11. レイヤ情報欄の[レイヤーのロック/ロック解除]ボタンを押す

上図のようにレイヤ情報欄の[レイヤーのロック/ロック解除]ボタン([レイヤーのロック/ロック解除]ボタン)を押します(開いた錠のボタンです)。

12. レイヤ情報欄の[レイヤーのロック/ロック解除]ボタンの錠が閉じる
12. レイヤ情報欄の[レイヤーのロック/ロック解除]ボタンの錠が閉じる

上図のようにレイヤ情報欄の[レイヤーのロック/ロック解除]ボタン([レイヤーのロック/ロック解除]ボタン)の錠が閉じます。 これはレイヤがロックされたということであり、下絵の画像を選択することはできなくなりました。

では次に、絵を描くレイヤを作成しましょう。 今回の例ではバナナを描くので "バナナ" という名前にします。

13. レイヤー(L) -> 新規レイヤー(A)...を実行
13. レイヤー(L) -> 新規レイヤー(A)...を実行

上図のように画面上部のプルダウンメニューの"レイヤー(L)" -> "新規レイヤー(A)..."を実行します(またはキーボードのSHIFT+CTRL+Nを押します)。

14. レイヤーを追加ウィンドウが開く
14. レイヤーを追加ウィンドウが開く

上図のようにレイヤーを追加ウィンドウが開きます。 レイヤー名に "バナナ" と入力し、[追加(A)]ボタンを押してください。

15. "バナナ"という名前のレイヤが追加される
15. "バナナ"という名前のレイヤが追加される

上図のように "バナナ" という名前のレイヤが追加されます。 また、この "バナナ" レイヤは選択状態になっています

ではここで下絵の画像をクリックしてみましょう

16. 下絵の画像をクリック
16. 下絵の画像をクリック

上図のように下絵の画像をマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックします。

17. 下絵の画像は選択されない
17. 下絵の画像は選択されない

上図のように下絵の画像は選択されません。 ロックされていると、このように選択できなくなります

これで下絵の画像は準備できましたので、後はバナナを描くだけです。 ペンツールなどでバナナの形に沿ってパスを作成しましょう

18. 下絵の画像に沿ってパスを作成
18. 下絵の画像に沿ってパスを作成

上図のように下絵の画像に沿ってパスを作成しました。 このように、上から絵を描くと下絵の画像は見えなくなります

下絵の画像を見る方法は2つありますが、まずは "バナナ" レイヤを非表示にする方法でやってみましょう

19. レイヤ情報欄の[レイヤーの表示/非表示]ボタンを押す
19. レイヤ情報欄の[レイヤーの表示/非表示]ボタンを押す

上図のようにレイヤ情報欄の[レイヤーの表示/非表示]ボタン([レイヤーの表示/非表示]ボタン)を押します(開いた目のボタンです)。

20. レイヤ情報欄の[レイヤーの表示/非表示]ボタンの目が閉じる
20. レイヤ情報欄の[レイヤーの表示/非表示]ボタンの目が閉じる

上図のようにレイヤ情報欄の[レイヤーの表示/非表示]ボタン([レイヤーの表示/非表示]ボタン)の目が閉じます。 これはレイヤが非表示になったということです。

では、キャンバスを見てみましょう

21. "バナナ" レイヤのオブジェクトが非表示になる
21. "バナナ" レイヤのオブジェクトが非表示になる

上図のように "バナナ" レイヤのオブジェクトが非表示になります。 下絵の画像が見えるようになりました。

ただし、この方法だと下絵の画像を透かして絵を描くことはできません。 上層の絵と下絵の画像の両方が見えるようにしましょう上層レイヤを半透明にすることで、下絵の画像も見えるようにします

まずは、レイヤーとオブジェクトダイアログを開く必要があります。 レイヤーとオブジェクトダイアログは、レイヤおよびオブジェクトを管理するためのダイアログですこのダイアログは、Inkscape 1.2で登場しました

  
Inkscape 1.2系で "レイヤーダイアログ" と "オブジェクトダイアログ" が統合され、新たに "レイヤーとオブジェクトダイアログ" になりました。
22. レイヤー(L) -> レイヤーとオブジェクト...を実行
22. レイヤー(L) -> レイヤーとオブジェクト...を実行

上図のように画面上部のプルダウンメニューの"レイヤー(L)" -> "レイヤーとオブジェクト..."を実行します(またはキーボードのSHIFT+CTRL+Lを押します)。

23. レイヤーとオブジェクトダイアログが開く
23. レイヤーとオブジェクトダイアログが開く

上図のようにレイヤーとオブジェクトダイアログが開きます。 上部には操作用のボタンがあり、その下にはレイヤとオブジェクトの一覧があります。

なお、Inkscape 1.2系で、ブレンドモード・ぼかし・不透明度の設定項目はこのダイアログから削除されました。 ブレンドモード・ぼかし・不透明度は、フィル/ストロークダイアログで設定する必要があります。

  
Inkscape 1.0系 / 1.1系では、レイヤのブレンドモード・ぼかし・不透明度はレイヤーダイアログで、オブジェクトのブレンドモード・ぼかし・不透明度はフィル/ストロークダイアログで設定していました。 Inkscape 1.2系からは、レイヤ・オブジェクトともに、フィル/ストロークダイアログでブレンドモード・ぼかし・不透明度を設定します。 つまり、設定場所が統一されました。

では、"バナナ" レイヤを半透明で表示させましょう。 ただし、不透明度はこのダイアログでは操作できません。 ここでは、レイヤを非表示状態から表示状態に切り替える操作のみを行います

24. レイヤとオブジェクトの一覧の[レイヤーの表示/非表示]ボタンを押す
24. レイヤとオブジェクトの一覧の[レイヤーの表示/非表示]ボタンを押す

上図のようにレイヤとオブジェクトの一覧の "バナナ" レイヤの[レイヤーの表示/非表示]ボタン([レイヤーの表示/非表示]ボタン)を押します。

25. "バナナ" レイヤのオブジェクトが再表示される
25. "バナナ" レイヤのオブジェクトが再表示される

上図のように "バナナ" レイヤのオブジェクトが再表示されます。

続いて、"バナナ" レイヤの不透明度を設定します。 すでに説明したように、Inkscape 1.2系からはフィル/ストロークダイアログで不透明度を設定します。

ただし、フィル/ストロークダイアログを開く前にやっておかなければならないことがあります。 "バナナ" レイヤのみを選択する作業です

26. レイヤとオブジェクトの両方が選択されている
26. レイヤとオブジェクトの両方が選択されている

上図のように現状ではレイヤ("バナナ")とオブジェクト("path234")の両方が選択されています

フィル/ストロークダイアログを開く前に、"バナナ" レイヤのみを選択しておきましょう。

27. "バナナ" レイヤをクリックする
27. "バナナ" レイヤをクリックする

上図のようにレイヤとオブジェクトの一覧の "バナナ" レイヤの何もない場所をマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックします。

28. "バナナ" レイヤのみが選択される
28. "バナナ" レイヤのみが選択される

上図のように "バナナ" レイヤのみが選択された状態になります。

これで、レイヤのみを選択することができました。 レイヤーとオブジェクトダイアログは閉じておきましょう

29. レイヤーとオブジェクトダイアログを閉じる
29. レイヤーとオブジェクトダイアログを閉じる

上図のようにレイヤーとオブジェクトダイアログのタブの[X]ボタン([X]ボタン)を押し、ダイアログを閉じます。

次に、"バナナ" レイヤの不透明度を設定します。 すでに説明したように、Inkscape 1.2系からはフィル/ストロークダイアログで不透明度を設定します。

30. オブジェクト(O) -> フィル/ストローク(F)...を実行
30. オブジェクト(O) -> フィル/ストローク(F)...を実行

上図のように画面上部のプルダウンメニューの"オブジェクト(O)" -> "フィル/ストローク(F)..."を実行します(またはキーボードのSHIFT+CTRL+Fを押します)。

31. フィル/ストロークダイアログが開く
31. フィル/ストロークダイアログが開く

上図のようにフィル/ストロークダイアログが開きます。

32. 不透明度を 50 に設定する
32. 不透明度を 50 に設定する

上図のようにフィル/ストロークダイアログの下部にある(1)の不透明度を 50 に設定し、ダイアログのタブの(2)の[X]ボタン([X]ボタン)を押してダイアログを閉じます。

33. "バナナ" レイヤが半透明で表示される
33. "バナナ" レイヤが半透明で表示される

上図のように "バナナ" レイヤが半透明で表示されます。 これで、下絵の画像を見ながら上層レイヤで絵を描けるようになりました。

  

注意事項

Inkscape 1.3では、フィル/ストロークダイアログで設定した不透明度がずっと継承されます。 新たに作成するオブジェクトには、最後に設定した不透明度が設定されてしまうようです。

作成したオブジェクトの色に違和感を感じた場合は、フィル/ストロークダイアログの不透明度を確認してください。

  

まとめ

Inkscapeでは、JPEG形式やPNG形式、BMP形式などの一般的な画像ファイルであればインポートで読み込むことができます。 読み込んだ画像を下層レイヤに配置してロックすることで、下絵の画像として利用することができます。

上層レイヤの不透明度を変更して半透明にすることで、下絵の画像と上層の絵の両方を見ながら作業できるようになります。

操作/コマンド 説明
SHIFT+CTRL+N レイヤを追加する
[レイヤーの表示/非表示]ボタン レイヤの表示/非表示を切り替える
[レイヤーのロック/ロック解除]ボタン レイヤをロック/ロック解除する
SHIFT+CTRL+L レイヤーとオブジェクトダイアログを開く
SHIFT+CTRL+F フィル/ストロークダイアログを開く
メニュー