トップ > 知っておきたい機能 > フィルとストローク >
フィル/ストロークダイアログの詳細(その2)

色の指定方法と色の入力欄

では、それぞれもう少し詳しく見ていきましょう。 まずは、色の指定方法と色の入力欄からです。

『色の指定方法』は名前の通り色の指定方法を切り替えるためのもので、

1. HSL
2. HSV
3. RGB
4. CMYK
5. HSLuv
6. CMS

の6つの選択肢があります。

その下の、H / S / L / Aの入力欄は、色の入力欄です。 これらの項目は、選択した色の指定方法によって変化します。 初期状態では色の指定方法に "HSL" が選択されているため、H(色相)・S(彩度)・L(輝度)・A(不透明度)の入力欄が表示されています。

色の指定方法の各選択肢の意味とそれぞれの色の指定方法は以下の通りです。

---

色の指定方法に "HSL" を選択した場合は、HSL形式で色を指定します。

Hは色相(色合い)、Sは彩度(鮮やかさ)、Lは輝度(明るさ)、Aは不透明度を表します。 なお、Hは円の角度(0 から 360)で、S / L / Aはパーセント(0 から 100)で指定します。

1. Hは色相(色合い)
2. Sは彩度(鮮やかさ)
3. Lは輝度(明るさ)
4. Aは不透明度
5. Hは円の角度(0 から 360)で指定する
6. S / L / Aはパーセント(0 から 100)で指定する

---

色の指定方法に "HSV" を選択した場合は、HSV形式で色を指定します。

Hは色相(色合い)、Sは彩度(鮮やかさ)、Vは明度(明るさ)、Aは不透明度を表します。 なお、Hは円の角度(0 から 360)で、S / V / Aはパーセント(0 から 100)で指定します。

1. Hは色相(色合い)
2. Sは彩度(鮮やかさ)
3. Vは明度(明るさ)
4. Aは不透明度
5. Hは円の角度(0 から 360)で指定する
6. S / V / Aはパーセント(0 から 100)で指定する

---

色の指定方法に "RGB" を選択した場合は、RGB形式で色を指定します。

Rは赤成分、Gは緑成分、Bは青成分、Aは不透明度を表します。 なお、R / G / Bは 0 から 255 の256段階で、Aはパーセント(0 から 100)で指定します。

1. Rは赤成分
2. Gは緑成分
3. Bは青成分
4. Aは不透明度
5. R / G / Bは 0 から 255 の256段階で指定する
6. Aはパーセント(0 から 100)で指定する

---

色の指定方法に "CMYK" を選択した場合は、CMYK形式で色を指定します。 なお、CMYKについては、特集 > CMYKって何だろうを参照ください。

Cはシアン(水色)、Mはマゼンタ(紫色)、Yはイエロー(黄色)、Kはキープレート(黒色)、Aは不透明度を表します。 なお、C / M / Y / K / Aともにパーセント(0 から 100)で指定します。

1. Cはシアン(水色)
2. Mはマゼンタ(紫色)
3. Yはイエロー(黄色)
4. Kはキープレート(黒色)
5. Aは不透明度
6. C / M / Y / K / Aともにパーセント(0 から 100)で指定する

---

色の指定方法に "HSLuv" を選択した場合は、HSLuv形式で色を指定します。

H*は色相(色合い)、S*は彩度(鮮やかさ)、L*は輝度(明るさ)、Aは不透明度を表します。 なお、H*は円の角度(0 から 360)で、S* / L* / Aはパーセント(0 から 100)で指定します。

1. H*は色相(色合い)
2. S*は彩度(鮮やかさ)
3. L*は輝度(明るさ)
4. Aは不透明度
5. H*は円の角度(0 から 360)で指定する
6. S* / L* / Aはパーセント(0 から 100)で指定する

---

色の指定方法に "CMS" を選択した場合は、CMS(カラーマネジメントシステム)を用いて色を指定します。

カラーマネジメントシステムを用いることで、特定の機器(モニタ・プリンタ等)ではどんな色になるかを画面上で見ることができます。

カラーマネジメントシステムを用いるには、画像を出力する機器用のカラープロファイルが必要です。 カラープロファイルは機器の色の特性の情報であり、機器のメーカや標準化団体などが配布しています。

1. カラーマネジメントシステムを用いることで、特定の機器(モニタ・プリンタ等)ではどんな色になるかを画面上で見ることができる
2. カラーマネジメントシステムを用いるには、画像を出力する機器用のカラープロファイルが必要
3. カラープロファイルは機器の色の特性の情報であり、機器のメーカや標準化団体などが配布している

アイコン

続いては、色の入力欄の下にある3つのアイコン( / / )です。

これらのアイコン( / / )は色の指定状態を表す表示灯、つまりインジケータです。 ユーザが色に関する設定を行ったり色を指定したりすることで自動的に点灯・消灯します。 ボタンではないのでユーザが押すことはできません。

[スポイトツール]ボタン

次は、アイコンの右にある[スポイトツール]ボタン()です。

[スポイトツール]ボタン()は、一時的にスポイトツールに切り替えるためのボタンです。 [スポイトツール]ボタン()を押すとスポイトツールに切り替わり、他のオブジェクトをクリックすることで色を抽出することができます。 色の抽出後は前に選択していたツールに戻ります。

では、[スポイトツール]ボタン()を使って色を抽出してみましょう。

上図のように任意のオブジェクトを(1)のように選択し、(2)の[スポイトツール]ボタン()を押します。 今回はピンク色のオブジェクトを選択しています。

上図のように画面左部にあるツールボックスのスポイトツールが選択されています。 このように、[スポイトツール]ボタン()を押すと自動的にスポイトツールに切り替わります。

上図のように色を抽出したいオブジェクトをマウスの左ボタン()でクリックします。

上図のように選択していた(1)のオブジェクトの色が水色に変化します。 また、(2)のH / S / L / Aの入力欄および(3)のRGBAの入力欄にも水色がセットされています。

上図のように画面左部にあるツールボックスの選択ツールが選択されています。 このように、色の抽出後は前に選択していたツールに戻ります。

RGBAの入力欄

最後はダイアログの右下にあるRGBAの入力欄です。 HTMLカラーコードとも呼ばれます。

RGBAの入力欄は、赤成分(R)・緑成分(G)・青成分(B)・不透明度(A)を16進数のカラーコードで確認・修正するためのものです。

R / G / B / Aをそれぞれ2桁の16進数で表現するため、"0480e8ff" のように全部で8桁になります。 "0480e8ff" の場合は、R / G / B / Aのそれぞれの強度は以下になります。

16進数であるため、下から2桁目は16の位となります。 よって、10進数との対応は以下のようになります。

カラーホイールで色を指定することもできる

Inkscapeでは、カラーホイールで色を指定することもできます。 カラーホイールを使うことで、視覚的に色を指定することができます。

ただし、カラーホイールで指定できるのは『色の指定方法』が "HSL" / "HSV" / "HSLuv" の場合のみです。

では、実際にカラーホイールで色を指定してみましょう。 今回は、色の指定方法に "HSV" を選択したものとして解説します。

上図のように任意のオブジェクトを(1)のように選択し、(2)の色の指定方法に "HSV" を選択し、(3)の "カラーホイール" をマウスの左ボタン()でクリックします。

上図のようにカラーホイールが展開されます。 見ての通り、カラーホイールは(1)のカラフルなリングと(2)の内接する三角形で構成されています。 (1)のリングが『色相環』、(2)の三角形が『三角セレクタ』と呼ばれます。

では、もう少し詳しく見てみましょう。

上図のように色相環の右(時計の3時)の位置に(1)の線が描かれています。 この線が現在の色相の値を表しています。 色相環は右(時計の3時)が 0(ゼロ)、上(時計の12時)が 90、左(時計の9時)が 180、下(時計の6時)が 270 ですので、現在の色相は 0(ゼロ) です。

(2)の小さな円は、現在の彩度と輝度を表しています。 三角セレクタは先端の頂点が彩度 / 輝度ともに高い(濃く明るい)ことを、右の頂点が彩度が低く輝度が高い(薄く明るい)ことを、左の頂点が彩度 / 輝度ともに低い(薄く暗く)ことを表しています。 つまり、現在の彩度と輝度は、彩度が約50%で輝度が約100%ということです。

では、実際にカラーホイールを使って色を指定してみましょう。 今回は、濃いやや暗い水色を指定します。 まずは、色相を指定しましょう。

上図のように色相環の左(時計の9時)をクリックします。

上図のように現在の色相を表す線が左(時計の9時)に移動します。 また、三角セレクタが連動して回転し、先端が左を向きました。 これで、色相の指定は終わりです。

次に彩度と輝度を指定しましょう。 彩度を 100% に、輝度を 50% に指定します。

上図のように三角セレクタの彩度が 100% で輝度が 50% の位置をマウスの左ボタン()でクリックします。

上図のように現在の彩度と輝度を表す小さな円が移動します。 これで、彩度と輝度の指定も終わりました。

もう、カラーホイールは不要です。 折りたたんでおきましょう。

上図のように "カラーホイール" をマウスの左ボタン()でクリックします。

上図のように選択していた(1)のオブジェクトの色が濃いやや暗い水色に変化します。 また、(2)のH / S / V / Aの入力欄および(3)のRGBAの入力欄にも同色がセットされています。

1. H(色相)は色相環から選ぶ
2. S(彩度)は色相環に内接する三角セレクタ内の位置で選ぶ
3. V(輝度)は色相環に内接する三角セレクタ内の位置で選ぶ