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独自のテンプレートを作成する

  

自分でテンプレートを作成してみよう

前の記事ではテンプレートからドキュメントを作成する手順を説明しました。 この記事では、独自のテンプレートを作成する方法について解説します

8cm CD/DVD用ラベルのテンプレートを作成する

では、テンプレートを作成してみましょう。 今回は、8cm CD/DVDのラベル用のテンプレートを作ってみます。 新規ドキュメントを開いた状態から始めます

1. 新規ドキュメントを開く
1. 新規ドキュメントを開く

上図のように新規ドキュメントを開きます。

続いて、ドキュメントのページのサイズを設定します。 ページのサイズはドキュメントのプロパティで指定します。

2. ファイル(F) -> ドキュメントのプロパティ(D)...を実行
2. ファイル(F) -> ドキュメントのプロパティ(D)...を実行

上図のように画面上部のプルダウンメニューの"ファイル(F)" -> "ドキュメントのプロパティ(D)..."を実行します(またはキーボードのSHIFT + CTRL + Dを押します)。

3. 幅と高さをそれぞれ80に
3. 幅と高さをそれぞれ80に

上図のようにドキュメントのプロパティウィンドウが開きますので、(1)の『表示』タブに切り替え(2)の幅と高さにそれぞれ 80 を設定します。 なお、単位は "mm" のままにしておいてください。 設定したら(3)でウィンドウを閉じましょう

  
8cm CD/DVD用なので 80mm にしています。
4. ページが小さくなる
4. ページが小さくなる

上図のようにページが小さくなります。 表示倍率を調整し、ページがキャンバスにピッタリと収まるようにしましょう

5. 表示(V) -> ズーム(Z) -> ページ全体にズームを実行
5. 表示(V) -> ズーム(Z) -> ページ全体にズームを実行

上図のように画面上部のプルダウンメニューの"表示(V)" -> "ズーム(Z)" -> "ページ全体にズーム"を実行するか、キーボードの5を押します

  
テンキーの5でも、キーボード上段の5(ひらがなの"え"の刻印のあるキー)でも構いません
6. ページをキャンバスに合わせる
6. ページをキャンバスに合わせる

上図のように表示倍率が調整され、ページ全体がキャンバスにピッタリと収まりました。 これでドキュメントサイズの変更は終わりです

では続いて、CD/DVDの形状の図形を作りましょう。 テンプレート利用時には、枠として利用される図形です。 ページにピッタリと収まる 80mm x 80mm の円を描きます

まずは円/弧ツールに切り替えます

7. 円/弧ツールを選択
7. 円/弧ツールを選択

上図のように画面左部にあるツールボックスから円/弧ツールを選択します(またはキーボードのE(またはF5)を押します)。

では次に、ページ境界へのスナップ(吸い寄せ)を有効にします。 図形をページにピッタリと収めるために必要な作業です

  
スナップの機能は、Inkscape 1.2系から利用方法が変わりました。 簡易スナッピングモードと上級者モードの2つが用意され、利用者は自由にそれらのモードを切り替えることができるようになりました。
  
インストール直後は簡易スナッピングモードになっており、簡単なスナップ設定しか使えません。 上級者モードに切り替えることで、細かなスナップ設定が行えるようになります。 なお、上級者モードのスナップ設定の項目は、Inkscape 1.1系よりも少し多くなっています。
  
スナップの機能は、Inkscapeの中でもかなり難解な機能です。 あまりにも細かな設定が行えるため、簡単には理解できないという問題がありました。 つまり、高機能すぎて使い方がわからない、という利用者が多かったのです。 その問題を解消するため、簡易スナッピングモードが用意されたようです。

それでは、ページ境界へのスナップを有効にしましょう。 まずは、スナップの機能そのものを有効にします

8. ツールコントロールの[スナップの有効/無効を切り替えます]ボタンを押す
8. ツールコントロールの[スナップの有効/無効を切り替えます]ボタンを押す

上図のように画面上部にあるツールコントロールの[スナップの有効/無効を切り替えます]ボタン([スナップの有効/無効を切り替えます]ボタン)を押します(またはキーボードの%を押します)。 これで、スナップの機能そのものが有効になります

次に、上級者モードへの切り替えを行います

9. ツールコントロールの[スナップ設定パネル]ボタンを押し上級者モードに切り替える
9. ツールコントロールの[スナップ設定パネル]ボタンを押し上級者モードに切り替える

上図のように画面上部にあるツールコントロールの(1)の[スナップ設定パネル]ボタン([スナップ設定パネル]ボタン)を押します。 スナップ設定パネルが表示されますので(2)の上級者モードをクリックします

10. 上級者モードに切り替わる
10. 上級者モードに切り替わる

上図のように上級者モードに切り替わります。 これで、細かなスナップ設定が行えるようになりました。

  
正確には、上級者モードではInkscape 1.1系よりも細かなスナップ設定が行えます。

では、目的であるページ境界へのスナップを有効にしましょう

11. "ノード"と"ページ境界"をオン
11. "ノード"と"ページ境界"をオン

上図のように(1)の "ノード" と(2)の "ページ境界" がオンになっていることを確認し、なっていなければオンにします。 両方ともオンになっていること確認したら、(3)の[スナップ設定パネル]ボタン([スナップ設定パネル]ボタン)を押してスナップ設定パネルを閉じます。

これで、ページ境界へのスナップが有効になりました。 なお、(1)の "ノード" もオンにしたのは、スナップされる対象として図形のノードが含まれるようにするためです。

つまり、『何をどこに吸着させるか』の『何を』が (1)の"ノード" であり、『どこに』が (2)の"ページ境界" というわけです。 『何を』と『どこに』の両方をオンにしなければスナップは機能しません。

  
シェイプの場合は、ハンドルがノードに該当します。 つまり、ハンドルがページ境界にスナップされます。

では円のシェイプを作成しましょう。 ページの左上から右下へマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でドラッグします。

12. ページの左上から右下へドラッグ
12. ページの左上から右下へドラッグ

上図のようにページの左上から右下へドラッグします。 赤色の矢印はドラッグの動きを表しています。

13. 円のシェイプが作成される
13. 円のシェイプが作成される

上図のように円のシェイプが作成されます。 ページ境界へのスナップが有効になっているため、ピッタリとページに収まっています。 円のシェイプのハンドルがページ境界に吸い寄せられたためこのようにフィットさせることができました。

ただし、作成された円のシェイプには問題があります。 フィルが塗られていてはテンプレートとしては使い物になりません。 フィルを削除し、ストロークを灰色の 0.1mm 幅に設定しましょう

  
 
フィルを削除するには、画面左下の "フィル" の右の色の部分をマウスの右ボタン(マウスの右ボタン)でクリックし、表示されるサブメニューから"フィルを削除"を実行します(右図)。
14. 灰色のストロークのみにする
14. 灰色のストロークのみにする

上図のように灰色の線幅 0.1mm のストロークのみにします

次に、内径用の枠を作成します。 CD/DVDのラベル領域の内径には 23mm と 46mm がありますが、今回は 23mm で作成します。

15. 内径用の円のシェイプを作成する
15. 内径用の円のシェイプを作成する

上図のように内径用の円のシェイプを作成します。 なお、幅・高さ、および位置は後で調整しますのでこの時点では適当で構いません

まずは幅と高さを 23mm に補正しましょう

16. 画面上部のツールコントロールの水平半径と垂直半径をそれぞれ 11.5 に
16. 画面上部のツールコントロールの水平半径と垂直半径をそれぞれ 11.5 に

上図のように画面上部のツールコントロールの水平半径と垂直半径をそれぞれ 11.5mm に設定します。

17. 幅と高さが 23mm に
17. 幅と高さが 23mm に

上図のように幅と高さが 23mm になりました。

続いては、位置の調整です。 外径の円と内径の円の両方を選択して水平・垂直の中心に軸を合わせることで位置を整えます。

18. 選択ツールに切り替えて外径の円と内径の円の両方を選択する
18. 選択ツールに切り替えて外径の円と内径の円の両方を選択する

上図のように選択ツールに切り替えて外径の円と内径の円の両方を選択します。 両方を選択したら整列を行います。

19. オブジェクト(O) -> 整列と配置(A)...を実行
19. オブジェクト(O) -> 整列と配置(A)...を実行

上図のように画面上部のプルダウンメニューの"オブジェクト(O)" -> "整列と配置(A)..."を実行します(またはキーボードのSHIFT + CTRL + Aを押します)。

20. 整列と配置ダイアログが開く
20. 整列と配置ダイアログが開く

上図のように整列と配置ダイアログが開きますので、整列を行いましょう。 まずは、オブジェクトの中心を垂直軸に合わせます

21. [中心を垂直軸に合わせます]ボタンを押す
21. [中心を垂直軸に合わせます]ボタンを押す

上図のように(1)の『整列』タブに切り替え、(2)の[中心を垂直軸に合わせます]ボタン([中心を垂直軸に合わせます]ボタン)を押します。 続いて、オブジェクトの中心を水平軸に合わせます

22. [水平軸の中心に揃えます]ボタンを押す
22. [水平軸の中心に揃えます]ボタンを押す

上図のように(1)の[水平軸の中心に揃えます]ボタン([水平軸の中心に揃えます]ボタン)を押します。 さらに、ダイアログのタブの(2)の[×]ボタン([×]ボタン)を押してダイアログを閉じましょう。

23. 内径の円が中心に配置される
23. 内径の円が中心に配置される

上図のように内径の円が中心に移動しました。 ではここで選択を解除しましょう

24. ツールコントロールの[選択オブジェクトまたはノードのすべてを選択解除]ボタンを押す
24. ツールコントロールの[選択オブジェクトまたはノードのすべてを選択解除]ボタンを押す

上図のように画面上部にあるツールコントロールの[選択オブジェクトまたはノードのすべてを選択解除]ボタン([選択オブジェクトまたはノードのすべてを選択解除]ボタン)を押します。

25. 外径と内径の枠が完成
25. 外径と内径の枠が完成

上図のように外径と内径の枠が完成しました。 これで、テンプレートとして必要なオブジェクトは揃ったものとします

ただし、これだけではテンプレートとしては機能しません。 このドキュメントがテンプレートである、という情報が埋め込まれていないためです。 ここからは、ドキュメントにテンプレートとしての情報を埋め込む作業を行います

次の記事へ

長くなってきましたので、一区切りします。 続きは次の記事を参照ください

  
  

まとめ

Inkscapeでは、独自のテンプレートを作成することもできます。 ドキュメントのプロパティウィンドウでページのサイズを設定し、必要なオブジェクトを作成・配置していきます。

操作/コマンド 説明
SHIFT + CTRL + D ドキュメントのプロパティウィンドウを開く

Inkscapeにはスナップの機能があり、オブジェクトの移動や変形をガイドやグリッドおよび他のオブジェクトにピッタリと寄せることができます。 スナップは、画面上部にあるツールコントロールの[スナップの有効/無効を切り替えます]ボタン([スナップの有効/無効を切り替えます]ボタン)で有効/無効を切り替えることができます(またはキーボードの%を押します)。

操作/コマンド 説明
[スナップの有効/無効を切り替えます]ボタン
(または)
%
スナップの有効/無効を切り替える

スナップの動作は、スナップ設定パネルから設定できます。 スナップ設定パネルは、画面上部にあるツールコントロールの[スナップ設定パネル]ボタン([スナップ設定パネル]ボタン)を押すと表示されます。

 
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