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ノードのスカルプト加工(周囲のノードも引っ張られる)

  

粘土細工のように形作るスカルプト加工

Inkscapeには、ノードをスカルプト加工できる機能があります。 スカルプトとは『彫像する』とか『彫刻する』という意味であり、押し込んだり引っ張り出す感覚で形作ることができます。 どちらかといえば、彫刻というよりは粘土細工に近いでしょうか。

 

スカルプト加工とは、移動させたノードの周囲のノードにも影響を与えて移動させる機能のことです。 近いノードは大きな影響を受け、遠くなるにつれて受ける影響は小さくなります。

スカルプト加工は、Blenderのような3Dグラフィックスを制作するソフトウェアでは今や当たり前の機能ですが、2次元の画像を制作するInkscapeでも便利な機能です。 Blenderではプロポーショナル編集と呼ばれます。

テキストを溶け落ちるように加工する

では、スカルプト加工を行ってみましょう。 今回はテキストをスカルプト加工し、溶け落ちている最中のように変形させます。 何でもいいのでテキストを入力します。

1. 入力されたテキスト
1. 入力されたテキスト

上図のようにテキストを入力します。 フォントサイズは大きくしておきましょう

では次に、入力したテキストをパスに変換します。 スカルプト加工するためには、パスに変換する必要があります。 シェイプやテキストのままではスカルプト加工はできません。

2. パス(P) -> オブジェクトをパスへ(O)を実行
2. パス(P) -> オブジェクトをパスへ(O)を実行

上図のように画面上部のプルダウンメニューの"パス(P)" -> "オブジェクトをパスへ(O)"を実行します(またはキーボードのSHIFT + CTRL + Cを押します)。

3. パスに変換されたテキスト
3. パスに変換されたテキスト

上図のようにテキストからパスに変換されます。 テキストではなくなったため、テキストカーソルが消えています

なお、テキストをパスに変換すると、字ごとにパスのオブジェクトが作成されます。 つまり、現状6つのパスがあるということです

  
Inkscape 1.3系からは字ごとではなく、テキストオブジェクトごとにパスに変換されます。 つまり、この時点でパスは6つではなく1つです。 以下の手順はパスが6つあるものとして記載していますが、記事の通りに作業を進めてください。

また、6つのパスは、グループ化されて1つにまとめられています。 バウンディングボックスが1つしか表示されていないのはそのためです。

グループ化された状態だとノードの編集が面倒なので、グループ化を解除しましょう。

4. オブジェクト(O) -> グループ解除(U)を実行
4. オブジェクト(O) -> グループ解除(U)を実行

上図のように画面上部のプルダウンメニューの"オブジェクト(O)" -> "グループ解除(U)"を実行します(またはキーボードのSHIFT + CTRL + Gを押します)。

5. グループ化が解除される
5. グループ化が解除される

上図のようにグループ化が解除されます。 バウンディングボックスが6つ表示されているのがわかります。 バウンディングボックスが6つ表示されているということは、パスは6つとも選択されているということです。

では、本題のノードのスカルプト加工の説明に入ります。 パスが6つとも選択されている状態のまま、ノードツールに切り替えましょう

6. ノードツールを選択
6. ノードツールを選択

上図のように画面左部にあるツールボックスからノードツールを選択します(またはキーボードのN(またはF2)を押します)。

7. ノードとセグメントが表示される
7. ノードとセグメントが表示される

上図のように表示が変化し、ノードとセグメントが表示されます。 なお、6文字分のノードが表示されているのは、グループ化が解除され、かつ全てのパスが選択されているためです

  
グループ化を解除していなければ、ノードツールに切り替え後に2 ~ 6番目のパスをSHIFT + マウスの左ボタン(マウスの左ボタン)のクリックで追加選択する必要がありました。

では次に、全てのノードを選択します選択されているノードしかスカルプト加工の影響を受けないためです

キーボードのCTRL + Aを押して全てのノードを選択してください

8. 全てのノードを選択する
8. 全てのノードを選択する

上図のように全てのノードを選択します。

これでスカルプト加工の準備が整いました。 では、溶け落ちるように加工しましょう。 今回は "T" の下端の左側のノードを中心に溶け落ちかけているように加工します。

"T" の下端の左側のノードをALTキーを押しながらマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)で下方にドラッグします。

9. ALTキーを押しながらノードをドラッグ
9. ALTキーを押しながらノードをドラッグ

上図のようにALTキーを押しながらノードをドラッグします。 赤色の矢印はドラッグの動きを表しています。

10. 周囲のノードも移動する
10. 周囲のノードも移動する

上図のようにドラッグで移動させたノードの周囲も影響を受けています。 距離が近ければ大きく、離れるにつれて影響が小さくなっています。

ノードツールのままでは見づらいので、選択ツールに切り替え、さらに選択を解除しましょう

11. 溶け落ちかけのテキスト
11. 溶け落ちかけのテキスト

上図のように見やすくなりました。 "T" を中心に溶け落ちるように変形しています。

このように、ALTキーを押しながらノードをマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でドラッグすることでスカルプト加工することができます。

  
  

まとめ

Inkscapeでは、ノードをスカルプト加工することができます。 粘土細工のように、押し込んだり引っ張り出す感覚で形作ることができます。

なお、スカルプト加工できるのはパスのみであり、シェイプやテキストはパスに変換してからでないとスカルプト加工はできません。

スカルプト加工の対象となるのは選択されているノードのみです。 未選択のノードは、スカルプト加工の影響は受けません。

操作/コマンド 説明
(ノードツール選択中)
(ノードの上で)
ALT + マウスの左ボタン(マウスの左ボタン)のドラッグ
ノードをスカルプト加工する
※ドラッグしたノードはドラッグ終了位置まで移動する
※選択中の周囲のノードも距離に応じた影響を受けて移動する
※未選択のノードは影響を受けない
 
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